当たり前の家族のかたち|子供のいない人生

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:杉本雅史)は、妊活に対する知識・理解の普及を目指した最新の意識調査『妊活白書2023』で、6年目となる今回の調査では、子どもを望まない若年未婚男女は増え続けて半数以上となることを発表したそうです。

このニュースを読んで、本来なら、年金制度や国の経済、さらには国そのものの存続など、危ぶまれる問題を懸念しなくてはならないのかもしれませんが、私がまず思ったのは、お叱りを受けるかもしれませんが、子供のいない家庭が当たり前になったら、私が心を痛めてきた言葉を言われないで済む夫婦が増えるのかな、ということでした。

結婚して27年になる私たち夫婦には子供がいません。私たち夫婦は子供を強く望むところがありませんでしたので、夫婦の間では、子供がいないということが大きな問題になったことはありませんでした。

ただ、結婚した当初は、結婚すれば子供が授かるのが当たり前という風潮があったのと、身近に子供のいない家庭がなかったため、周囲からはいろいろと厳しい反応がありました。

子供がいない理由は明らかにしていませんでしたが、

  • 子供ができないのは嫁のどこかが悪いからだ。
  • 親にならないと、人の気持ちがわからない。
  • 旦那さんが可哀そう。早く産んであげなさい。
  • 年金制度についてどう考えているのか。どうしてくれるんだ。

などなど、まだまだあります。

子供のいない夫婦が若いころは周りにいなかったので、普通に子供をもって、普通に親になった人が、自分の中の常識で「普通でない家庭」を「おかしいぞ!」と考えて反応していたように思います。

そういった意見もわからなくはないですが、当時の私は面と向かってこう言われることが、とにかく辛くて辛くて仕方なかったです。

また、私自身も夫の単身赴任中、入退院後、独りで自宅療養をしている際、たまたま4月の頃だったので、入学式に向かう若い親子の姿を見て胸が苦しくなったこともありました。(冷静に考えると病気と子供をもたないことに、何の因果関係もないのですが)病気で心が弱っていたので、これは子供を産まなかったことに対する罰なのではないか…と自分で自分を苦しめてしまうこともありました。

きっと、両親含め周囲からの厳しい言葉がずっと何十年も私の心に蓄積されて、罪悪感が育っていたのだと思います。

今でもなお、当然のように、「お子さんはいくつ?」と質問されることがあります。少し、胸にチクリとした痛みを感じますが、きっとコミュニケーションの手段のひとつとして、話題のきっかけとして聞かれているんだな、と思えるようになりました。

今はあっさり「子供はいないんですよ~」と答えています。

ところが、今回のロート製薬の調査では、半数以上の若年未婚男女の間で、「子供を望まない」と答えており、子供のいない人生を選択する(可能性のある)人が珍しい存在でなくなって来つつあり、世間の当たり前の家庭像が、「子供あり家庭」「子供なし家庭」へとシフトする可能性さえ示唆しています。

今まで、子供がいないことによって、厳しい言葉を受けていた人が、今度は多数派の家庭になり、肩身の狭い思いをしなくて良くなるのなら、子供のいない人生を歩いている立場としては、心の重荷が少し軽くなる思いです。

しかし、どのような世界でも、多数派が力をもち、「当たり前」「常識」を形成しがちですが、多数派の論理で少数派を傷つけて良いとは思えません。「子供のいる」家庭が少数派となっても同じことだと思います。

子供がいない家庭が増えることで、国として、社会として様々な課題がでてくることは理解できますが、一人一人が幸せな選択ができるよう、またそれぞれの立場でお互いを尊重できればよいなと思います。

また、ロート製薬の報告でもあるように「子供を望まない」原因が、「妊娠に関する知識を得る機会が不足している」ことや「安定した収入の有無「妊娠・出産とキャリアの両立の難しさ」など、本人の意思で子供を望まないわけでないのならば、その原因を取り除き、後悔のない選択をしてもらいたいです。

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