103歳が見た一人で生きる人生|子供のいない人生

一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い /篠田桃紅

一人で人生を送ってきた一〇三歳(当時)の篠田桃紅さんは、どのように感じ、生きてこられたのでしょう。

100歳を超えた向こう側から人生を振り返ったとき、何が見えるのか。

大事なものとは何か、または後悔していることはあるのか。

その心を知りたくて、この本を手に取りました。

篠田桃紅さんとは

1913(大正2)年生まれの美術家であり、墨を用いた抽象表現主義者として活躍されていました。2021年3月1日、107歳で老衰のため死去されています。

自由を求めた人

篠田桃紅さんの「一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い」を読んで、私の篠田さんの印象は、不自由な時代に自由を選ぶ強さを持った人、自立し、覚悟をもった人というものでした。

著書の中で、彼女は、「こうなりたい、と目標を掲げて、それに向かって精進する、という生き方ではありませんでした。自由を求める私の心が、私の道をつくりました」と書かれています。

女学校を出たら、学校の先生や親の勧める相手と結婚するのが当たり前だった時代に、自由を求めて、「書道を教える」ということで生計を立てる道に進み、自由を求め続けた結果が今の自分であるとのことです。

彼女の強さを感じたのは、「周囲と違っていると自覚しても、人と違っていいのだと自分に言ってきた」と書かれていた部分です。

多様性が認められつつある令和の時代であっても、人と違うことで排除されたり、居場所が見つけられなかったり等、傷ついている人がいるというのに、男女としての役割、家族としての役割、夫婦としての役割など、役割が固く決められていた社会であった当時は、「周囲と違っていること」は、今よりももっと風当たりが強かったのではないかと想像できます。

それでも、自分の心のままに自由を求めて、そのことによる責任も引き受ける覚悟をもってこられた強さが、この著書の中にたくさんのエピソードとともに感じられました。

若いご友人に「死生観」について尋ねられた時のエピソードについても、「私には死生観がない」「考えたところでしようがないし、どうにもならない」という答えをされていました。

ただ、毎日、淡々と過ごしてこられた姿勢を感じます。

人と違うことをし、自由に生きるには、強い覚悟が必要なのだなと感じさせられました。

自由と覚悟について

篠田桃紅さんの著書を読んで、自由を選び、人との違いを誇りにして生きていくには、その困難さを受け入れる覚悟が必要なのだと学びました。

自由を選択し、周囲の言葉に不安や戸惑いを感じられている人には、篠田桃紅さんの言葉や生き方に勇気をもらえるのではないかと思います。

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